古民家再生展を終えて |
東日本大震災の年(2011年)に初めて開催し、第4回目となる「茨城の古民家再生展」を開催させて頂きました。今回は古民家再事例の展示と共に、古民家と共に大切に使われてきた、アンティーク家具や本物の古材もご覧いただきました。
開催期間中(3日間)は、延べ450名を超える方々にご高覧をいただく事が出来ました。心より感謝申し上げます。
来場いただいた方には、古民家に住まわれている方、かつて民家に住んでいた方、いつか古民家に住んでみたい方、古民家に携わっている大工さん、左官屋さん、建具屋さんなどの職人さん、古民家が好きな20代や30代の若い世代の方、行政マン、シンクタンクの研究者など幅広くいらっしゃいました。
古民家には現代の規格型住宅にはない、住手にも関わった作り手(職人)にも共に誇りがあり、同時に民家の存在は、所有者はもとより、その地域の人たちの結びつきを深くし、アイデンティティを高める事に繋がっています。また歴史的資源と連動することで、訪れた方々と地域の関係性がより深い部分で理解しあうことができ、新たな人と人の交流が生まれる拠点としての可能性も強く感じました。
様々な方とお話をさせて頂く中で、改めて地域における古民家の役割と潜在的価値の高さと、これからの地域と人の暮らしとの関係性について、考えるきっかけとなりました。
約20年に亘り、古民家の調査・保存や再生に携わってきた中で、バブル時代を過ぎ、東日本大震災を乗り越えて尚、茨城に残された古民家に出会い、試行錯誤しながら再生へと向かいました。
スクラップ&ビルドの時代から、本物のデザイン、本物の価値、本当の豊かさを、問われる時代に来ています。 様々な障壁を乗り越えながら、さらにより良い地域と建築の関係性へ思考を重ね、次世代へと「つなぐ」発信を続けて行きたいと思います。