企業主導型保育事業について |
平成27年にスタートした事業所内保育に加え、平成28年にスタートした企業主導型保育事業が4月の法改正によって、会社がつくる保育園に認可保育園並みの補助金が給付されることになりました。当該補助金によって、5万人規模の待機児童を解消する目標が掲げられた「企業主導型保育事業」が動き出しています。
弊社でも、現在1園を申請中で、もう1園を申請に向けて基本設計を進めている状況です。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/gaiyo.html(内閣府ホームページ)
補助費については保育園の園舎整備費に基本単価の3/4加えて、病児保育・一時預かりスペース・特殊付帯設備工事費などが加算される仕組みです。
保育園の市場は、2000年の規制緩和により、株式会社などの参入が可能となりましたが、
採算が合わず2013年時点で、株式会社の割合は2%と参入が進みませんでした。
しかし、今回の法改正で無認可保育園ながら運営にも補助金が出るということで、一気にその数が増えそうです。去る9/2の内閣府の発表によりますと、第一期(2016年6月締め切り)には311施設からの申請があり、そのうち助成決定 が150件 (約76億円(全て施設整備費))利用定員数 3,887名。また、第一期の助成申請のうち、書類が不備等の理由により審査が終了していない施設整備費についても、今後書類審査が終了次第、随時、助成決定を行っていくとのことです。 また、先日、第 2 次募集(8月 31 日(水)〆切)を行ったところであり、今後も、予算の範囲内において、概ね2か月ごとに締切りを区切って募集する予定とのことです。
施設整備予定数が1700なのですが、来年の中旬頃には終了するのではないかと思われます。
保育市場に企業が参入することで、国の問題(待機児童解消)と、企業の雇用問題(人材確保、雇用を維持・確保)が解消に向かえば、日本にとって大きなプラスとなるのではと思います。しかし、一方で保育の質の問題と、800億円近い予算を使うに当たり、財政効率の問題等を懸念する意見が、それぞれの専門家から出ています。
こうした問題解決には、我々設計者が積極的にかかわる必要性があります。それは設計者が唯一、事業者・行政・保護者・子供たちと向き合い、それを具現化できるポジションにあるからです。箱モノが敬遠される中で、新たな関係性での保育環境を、価値ある建築として認められる提案をする機会であると思います。